昨夜のことを思い返してみると、確かにアラームをかけた覚えはあったのだ。
目覚まし時計とかのちゃんとしたものじゃなく、携帯の機能を使ったアラームではあったが、
午後7時、退勤して夕飯をとり、机に向かってみたが交感神経よりも眠気のほうが勝った。
故にここは切り替えが大事、と普段使わない論理的思考を働かせ、
携帯に10:00と打ち込んで、2〜3時間寝て着メロがかかったなら、
私は目覚めてきっと本を書きあげるんだと言い聞かせ、何の疑いもなく眠りについた。
そんな夜だった。
ひとことで言えば、昨晩はちょっと仮眠して夜中に起きて原稿するつもりだった。
だが、不思議なことにアラームは鳴らなかった。
その証拠に、私は10時には目覚める事無く、爽やかなトリの鳴き声と共に、
午前5時に目が覚めたからだ。
そうか、それほど疲れていたのか。
目覚ましも聞こえないほど、身体は疲労を覚えていたのだな。
自覚はなくとも身体というものは正直だ。
軽く感慨を覚え、私は朝五時から林檎の電源をいれ、ワープロソフトを立ち上げて、
昨夜書くはずだった起承転結の結の部分の1/5ほどを出勤前に書くことに成功した。
深夜書くのとややテイストが違っていることが気になるが、
まぁそのへんは後で推敲する時になんとかなったらいいななどと、
淡い希望を胸に午前8:10、ゲゲゲの女房の途中ではあったが出勤する為颯爽と車に乗った。
今日は定例人事異動の次の日ということもあり、
職場は入れ替わり立ち替わりよろしくお願いしますの嵐でなかなかバタバタとしていた。
が、私は人事異動には関係なかったのでわりと涼しくルーチンワークをこなしていた。
そんなバタバタも一時間ほどすると緩やかになり、私はルーチンの最後の段階を迎え、
関係各拠点にいつもの書類をPDF変換したものをメール配信などの手段で配るべく、
メールソフトを立ち上げつつ、さてコーヒーでもと思った矢先であった。
この水嶋の歌声はどこから響いてくるものであろうか
愛しすぎたあまり私の幻聴がそうさせるものであろうか
ああ、何度だって言ってくれていいBOM DIA!おはよう今日もビバビバああそうだね激しく同意
………まて
水嶋って何故だ
ここは職場のはずだ。水嶋は二次元にいるはずだ。よく考えろ私は何次元の住人なのだ
一応三次元にいる。というか、三次元に踏みとどまっていたいという希望が激しくある。
落ちついて時間を確認すると10:00である。
未だ水嶋のキャラソンが鞄の片隅で鬱蒼と鳴り響いているなか、
いまにも挫けつつある論理的思考で解析してみた結果は以下のとおりである。
昨日の深夜に私が起きられなかったのは、私が疲労していた訳ではなかった。
単に携帯のアラームを設定する際にAMとPMを設定し間違えていただけだったのだ。
悔やまれる。
何故B'zやスガシカオといった誰でも知っている歌にしなかったのか。
何故水嶋新を選んでしまったのか。
ごく落ちついて、メールが来たふりをして携帯を開いたが、
そこには水嶋の立ち絵が普通にカメラ目線にてあるだけで、
既に流れた水嶋のビバな歌が居室から消し去られるはずもない。
消え入りそうな赤面の渦に巻かれつつも、
うんありがとう大好きだと心の中で言ってしまうのは愛故だ。
好きだ。水嶋が好きだ。改めて思うがしかしここは職場だ。
私はことの顛末を前向きに捉えようと努力した。
アレが水嶋の歌であることがわかるひとが居室にいたとするならばそれはそれなりに後で昼休みなどに
「あの、もしかして同類ですか」的なお声かけがあるかもしれない。
その場合コトと次第によってはインテや神曲などで楽しい想い出がつくれることもなきにしもあらずだ。
しかし、声はかからなかった。
なるほど。
現在日付が変わろうとしているが、いまから私が出来ることは、
あの歌がそのへんのjポップとして捉えられていたことを祈るだけだ。
そして、アラームにセットした音源が、
「BOM DIA! 朝だよ! 起きて起きて〜♪」 的なものでなかったことは不幸中の幸いであったと思えるようになった。
時は金なりである。
★拍手ありがとうございましたー!!
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